生活習慣病関連因子の正常化作用
乳酸菌は血中脂質、血圧を正常化し、生活習慣病のリスクを低減します。
生活習慣病は、食習慣、運動習慣、休養、飲酒、喫煙等の生活習慣がその発症・進行に関与する疾患群のことであり、糖尿病、肥満、高脂血症、高血圧症などがあります。乳酸菌やその代謝産物には、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の上昇抑制作用、内臓脂肪の低減効果、血圧低下作用などがあり、生活習慣病発症の予防に役立つことが明らかになっています。
血中脂質に対する効果
乳酸桿菌と乳酸球菌によるLDLコレステロールの上昇抑制効果
健康な成人に高コレステロ ール食を摂取してもらい、乳酸桿菌(L.カゼイ)と乳酸球菌(S.サーモフィルス)で製造した発酵乳を7日目から摂取してもらったところ、発酵乳摂取群ではプラセボ(偽薬)※群と比べ、21日目でLDLコレステロール値の上昇抑制が認められました。
※プラセボ…偽薬ともいう。見た目や味に違いがなく、評価対象の成分を含まないもの。
〔出典:川瀬 学、Milk Science、51、53-62(2002)〕
内臓脂肪に対する効果
乳酸桿菌による内臓脂肪の低減効果
肥満気味の健常成人に、乳酸桿菌(L.ガセリ)を含む発酵乳を1日100g、12週間摂取してもらったところ、乳酸桿菌を含む発酵乳摂取群では、内臓脂肪が減少しました。
〔出典:高野 義彦ら、薬理と治療、41、895-903(2013) 〕
血圧に対する効果
乳酸桿菌の習慣的摂取による高血圧の発症リスクの低減
高齢者を対象に過去5年間の乳酸桿菌(L. カゼイ)を含む乳製品の摂取状況を聞き、乳酸桿菌摂取と高血圧の発症リスクとの関係を調べたところ、乳酸桿菌を習慣的に週3回以上摂取していた群は、週3回未満の摂取群と比べ、高血圧の発症リスクが半分以下でした。
〔出典:Aoyagi Y. et al., Benef. Microbes, 8, 23-29(2017)〕
乳酸菌の代謝産物による血圧低下作用
血圧が高めの人に、乳酸菌の代謝産物であるGABA(γ-アミノ酪酸)を含有する乳酸菌飲料を12週間飲用してもらったところ、プラセボ(偽薬)群に比べ、血圧の低下が認められました。また、乳酸菌の代謝産物であるラクトトリペプチド (特定の3つのアミノ酸が結合したもの) にも同様の効果があることが知られています。
〔出典:梶本修身ら、健康・栄養食品研究、6、1-14(2003)〕