身近なところで活躍する乳酸菌
乳酸菌の力によって糖から乳酸を生成する乳酸発酵は、古くから広く自然界で行われている現象で、乳酸発酵を司る乳酸菌も至るところに生息し、その仲間も多く存在しています。この乳酸菌を効果的に利用して作られる私たちの身近にある食品は、発酵乳、乳酸菌飲料、チーズ、味噌、醤油、清酒、ワイン、パンなど洋の東西を問わず世界中に広く分布し、その種類も多くあります。
これら乳酸発酵食品の多くは、乳酸菌どうし又は乳酸菌と酵母など他の微生物との共存共生によって作られます。例えば、味噌、醤油、清酒などの醸造製品や漬物などは、乳酸菌と酵母の共生によって特有の味覚を醸し出しています。一方、多くの発酵乳や乳酸菌飲料などの乳製品は、単独の乳酸菌や乳酸菌どうしの共生によって作られる代表的な食品です。
また、乳酸菌は、乳製品、醸造製品、漬物類に代表される伝統的な発酵食品だけでなく生分解性プラスチックであるポリ乳酸の製造をはじめ、その他工業用品や飼料、食品添加物などの製造に利用されています。